歯並びの乱れを整える矯正治療は、一般の歯科治療よりも長い期間を要します。すべての歯並びを整える“全額矯正”なら、2~3年の治療期間が必要となります。そこで不思議に思うのが、なぜ矯正だけこれほど長い治療期間がかかるのか、という点ですよね。今回はそんな矯正治療の期間についてわかりやすく解説します。
矯正治療は、小児矯正と成人矯正の2つに大きく分けることができます。
小児矯正は、顎の骨の発育を正常に促すことが主な目的であり、治療期間は1年程度で終わることも珍しくありません。ただし、それは小児矯正における第一期治療であり、歯並びを細かく整える第二期治療も必要となるケースが比較的多い点にご注意ください。第二期治療はいわゆる“歯列矯正”であり、成人矯正とほぼ同義であると考えていただければと思います。
成人矯正である歯列矯正は、冒頭でも述べたように2~3年の治療期間を要します。歯槽骨というとても硬い骨に埋まっている歯を人為的に動かすのが歯列矯正であり、2~3年という長い期間がかかっても、何ら不思議なことではないのです。ちなみに、歯列矯正には必ず「保定処置」が必要となります。
保定処置とは、矯正装置によって移動した歯をその位置に固定するための処置です。リテーナーと呼ばれる専用の装置を装着します。リテーナーは、マウスピースのような着脱式のタイプもあれば、歯列に固定するタイプもあります。マルチブラケット装置ほど複雑なものではないため、装着時の不快感も感じにくくなっています。そんな保定装置は、歯の移動と同等の期間、装着する必要があります。つまり、保定期間は2~3年に及ぶのです。
このように、矯正治療の期間は歯を動かす「動的治療」で2~3年、歯を固定する「保定処置」で2~3年必要となります。もちろん、ケースによってはより短い期間で矯正を完了させることもできますので、今回の内容はあくまで参考程度にとどめておいてください。