歯科治療では、いろいろな場面で麻酔をすることがあります。歯を削る際には、必ずと言って良いほど「局所麻酔(きょくしょますい)」を施しますよね。そんな歯科麻酔には施術に伴う痛みを和らげる効果が期待できるのですが、副作用がないのか心配な方もいらっしゃることでしょう。今回はそんな歯科麻酔の副作用についてわかりやすく解説します。
歯を削る際に施す局所麻酔には、いくつかのリスクを伴います。具体的には、アナフィラキシーショックや局所麻酔中毒、血管迷走神経反射などです。これらはあくまでリスクなので、必ず生じる副作用ではありません。とくにアナフィラキシーショックや血管迷走神経反射は、局所麻酔に限らず、医科の注射でも起こり得るトラブルといえます。
局所麻酔中毒とは、局所麻酔薬の血中濃度が急激に上昇することでさまざまな中毒症状が現れる病態です。中毒症状の初期には、興奮や頻脈、血圧上昇などが認められます。末期になると、無呼吸、心停止といった深刻な症状が現れることもあります。ただ、通常の虫歯治療では、このような副作用が生じることはまずありません。なぜなら、使用する麻酔薬の量は最小限にとどめると同時に、中毒症状が起こりにくい方法で麻酔処置を施すからです。
歯医者さんでは、問診の段階で、歯科麻酔の経験について質問します。過去の治療で麻酔による体調不良があった方は、必ず申告するようにしましょう。申告内容に応じて、副作用が起こりにくい薬剤を選んだり、場合によってはその他の方法を選択したりすることも可能です。
このように、歯科麻酔にはいくつかのリスクを伴いますが、基本的には安全なものとお考えください。もちろん、過去に麻酔によって体調を崩した経験がなくても、今回の治療でトラブルが生じる可能性もゼロではありません。ですから、歯科医師は常に万全を期した状態で麻酔処置を行っております。